ガブリエル・やんちゃボーイである。
やっぱり嫌な予感が当たった。
主人がスーツケースを出してきた。
ガチャガチャ。
ガチャガチャ。
嫌な音である。
服を入れている。
何かの機械を入れている。
充電器らしきものも入れている。
人間は旅に出るのに、なぜこんなに荷物が必要なのだろう。
猫なら体一つで十分である。
そして次に始まった。
カリカリの大量購入である。
確定だ。
これは確定である。
主人はまたどこかへ行く。
そして俺はまた長期間放置の刑に処される。
主人は忘れているかもしれない。
だが俺は忘れていない。
昔、一度だけ本当に危なかったことがある。
水が足りなくなった。
体が動かなくなった。
死ぬかと思った。
猫は意外としぶとい。
だが、あの時は本当にまずかった。
帰ってきた主人は青ざめていた。
そして反省したらしい。
それ以降は嫁さんの姉に連絡し、
定期的に様子を見てもらうようになった。
少しは成長したようである。
しかし主人は旅をやめない。
また行く。
何度でも行く。
沖縄。
台湾。
北海道。
熊野。
人間はなぜそんなに移動したがるのだろう。
猫には理解できない。
そして数日後。
主人は帰ってきた。
玄関の音がした瞬間に分かった。
機嫌がいい。
異常にいい。
猫は知っている。
足音で分かる。
ドアの開け方で分かる。
声の調子で分かる。
主人は旅先で何か良いことがあったらしい。
帰宅すると真っ先に俺を抱き上げた。
重い。
苦しい。
やめてほしい。
だが機嫌が良いので我慢してやる。
「ガブ、お前元気だったか。」
キャキャ。
「ガブ、たくさん食べろよ。」
キャキャキャ。
そして出てきた。
豪華なご馳走である。
いつものカリカリではない。
高級缶詰だ。
しかも複数。
どうやら本当に良い旅だったらしい。
しかし問題はここからである。
主人は突然言った。
「よし、シャンプーしてやる。」
余計なお世話である。
俺は逃げた。
だが捕まった。
洗われた。
乾かされた。
ブラッシングされた。
非常に不本意だった。
その後、主人は俺の顔に自分の顔を近づけてきた。
そして何度もスリスリしていた。
気持ち悪い。
本当に気持ち悪い。
だが俺は知っている。
主人は何か大切なものを旅で見つけたのだ。
だからこんな顔をしている。
人間は不思議である。
遠くへ行く。
何かを探す。
何かを見つける。
そして帰ってくる。
猫にはよく分からない。
俺なら家の窓際で十分だ。
だが一つだけ分かる。
旅から帰ってきた主人は、
いつも少し優しくなる。
まあ、それなら悪くない。
キャキャキャキャ。
・・・ ガブリエル・やんちゃボーイ 🐾
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