ガブリエル・やんちゃボーイである。
その日、主人は朝から落ち着きがなかった。
何度もパソコンを開く。
何度も時計を見る。
何度も独り言を言う。
「まだ発表じゃないのか。」
「何時だ。」
「そろそろだろ。」
何の話かは知らない。
どうやら技術士という資格の合格発表日らしい。
しかし発表時間になっても結果は見なかった。
会社へ行った。
俺は思った。
そんなに気になるなら見てから行けばいいのに。
人間はよく分からない。
数時間後。
主人が帰ってきた。
平日の昼間である。
おかしい。
体調でも悪いのかと思った。
しかし違った。
「受験番号何番だったっけ?」
そう言いながら、
机の上をガサガサ探している。
紙を見つけた。
受験票らしい。
主人は急いでパソコンを開いた。
しばらく画面を見つめる。
そして突然叫んだ。
「おった!!」
びっくりした。
「やったーーー!!」
さらに叫んだ。
俺は飛び上がった。
どうやら合格したらしい。
しかも建設部門と総合技術監理部門。
二つ同時だったらしい。
何がすごいのかは知らない。
だが主人は人生で一番嬉しそうだった。
そういえば数ヶ月前。
主人は東京へ行っていた。
スーツケースを出してきたので、
また旅行かと思った。
嫌な予感しかしなかった。
だが今回は違った。
スーツを着ていた。
何度も紙を読み返している。
ぶつぶつ独り言を言っている。
どうやら面接というものらしい。
さらにその前。
主人は毎日遅くまで起きていた。
机に向かう。
紙を書く。
消す。
また書く。
「この論文じゃダメだ。」
「まだ弱い。」
「これじゃ伝わらない。」
そんなことを言っていた。
俺には理解できなかった。
伝わらないなら、
もっと大きな声で鳴けばいいのではないか。
人間は難しく考えすぎである。
だが今なら分かる。
主人は本気だったのだ。
そしてその日の夜。
見たことのないご馳走が出てきた。
高級缶詰。
いつもより多い。
おかわりまである。
素晴らしい資格である。
主人はずっと笑っていた。
少し目もいっていた。
正直ちょっと怖かった。
だが本当に嬉しかったのだろう。
「これで収入が上がるかもしれん。」
そんなことを言っていた。
あの頃はまだ独立なんて考えていなかった。
主人は信じていた。
頑張って資格を取れば、
人生は良くなると。
それは間違いではなかったと思う。
だが今の主人を見ていると、
本当に欲しかったのは資格ではなく、
自分で人生を選ぶ力だったのかもしれない。
まあ知らんけど。
俺は猫だからな。
キャキャキャキャ。
— ガブリエル・やんちゃボーイ 🐾
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